続ああ山手線

 去る11月21日(土)、山手線1周ウォーキングを完成させた。
 実は先日のトライ以来、未だに足の痛みが引いていない。まあ、その後無理してバドミントンをやったりもしたから仕方ないのかも知れないが。正しい中年として養生しなければならない年齢であることは、頭では拒否しても体が囁いている。
 この日も昼頃になって突然「やろう」と思い立ち、恵比寿駅に歩いて到着したのは午後1時ちょっと前だった。前回は内回り恵比寿から目白で燃え尽きたので、目白まで電車で行こうとも思った。
 しかし、それは強迫神経症的な気がして柔軟な思考を強迫的に旨とする僕としては、今回は外回りで繋げることで自閉症的に無理矢理自分を納得させた。ああ誰も笑わないほど高度なギャグは疲れる。
 まず渋谷へ向かう、土曜の午後とてとてつもない人の群だ。こちらに来てつくづく思うのは、なんと人が多いのだろうということだ。歩道が満員電車並の混雑であることがごく当たり前のような気になってきたけれど、やっぱり異常だ。それと、誰もあまり言わないけれど、東京の人の少なさもとても感じる。どういうことかって?それは山手線沿線や内側でもそうなのだけれど、いわゆる有名スポット、渋谷新宿六本木上野東京秋葉原銀座有楽町等々等々は確かに人がゴミのように集まっているが、それ以外のところでふっと気が抜けたように誰もいないエリアが各所にあるのだ。というかそちらの方がずっと多い。いくら人口が多いといっても東京都心部の平面をすべて埋め尽くすなんてやっぱり出来ないのだな、と妙な発見をしてしまった。
 なんてことを考えつつ、次はお子さまの街原宿へ。ただしここには日本全国の名産を集めたふる里何とかという店がラフォーレにあるらしく、そのうちチェックする予定だ。お子さまの大群衆を横目でみつつ、宗教雑誌を押しつけんとするおじさんおばさんの一群を無視しつつ、次の代々木へ向かわんとす。しかし、ここは明治神宮の入り口がある。まだ一度もみたことがないのと、土の上を歩きたくなったため、境内を抜けることにする。
 ここは明治天皇と昭憲皇太后をまつり、内苑の森は全国から寄せられた10万本の木があるそうだ。これは百科事典からの引用。ついでに本殿を見に行くと、ちょうど結婚式の行列がしずしずと歩いていた。また農業関係のお祭りが近々あるらしく、大根やカボチャなどいろいろな野菜で大きな船を作っていた。
(あとで調べると新嘗祭の準備だった。「しんじょうさい。にいなめさいとも。新穀を神にささげて収穫を感謝し,きたるべき年の豊穣を祈る祭儀。古代からあり,宮中では旧11月第2の卯の日に天皇自ら祭儀を行なった。1873年以後は11月23日と定められ,戦後は多くの神社でも行なわれるようになった。」−マイペディアより)
 とにかく広大な境内の砂利道を鬱蒼と繁る森の音を聞きながら歩き抜け、代々木駅へ。
 ここでドトールにて一服する。最近は札幌にも随分ドトールができてきた。ここは結構昔から好きだ。理由の第一は水が自由に飲めること。第2はエスプレッソがおいしいこと。第3は店員のマニュアル度が低いことだ。もともとコーヒーが売りなので,他のファーストフード店と違い飲み物だけを頼んでも気が引けないのもいい。
 新宿西口といえば都庁ではなくヨドバシカメラ。ちょっと覗くつもりがついつい1時間経過。新宿西口は確か以前は段ボールハウスがひしめいていた。最初に見たときにはどこかの企業が引っ越しでもしているんだろうかと思った。中からおじさんが出てきてびっくりした覚えがある。それもきれいさっぱり無くなっている。あの方々はいずこへ行ったのか。都内を歩いて公園があると、相当の確率で片隅におじさんが暮らしている。親近感がゼロとは言い切れない僕である。
 新大久保で日が落ちた。高田馬場では真っ暗になる。昨夜友人と高田馬場のジャズスナックで飲んだ帰り、酔った勢いで恵比寿まで歩こうかと真剣に考えた。でも徒歩一周を完成させるためには目白まで戻らなくちゃいけないし。それも面倒だ、と止めた。止めてよかった。本当によかった。もしやってたら、今頃暁の渋谷の路地裏でゴミに頭をつっこんで意識不明だったろう。でも一瞬そう思ったことが伏線になって,現在夜道をとぼとぼと歩くことになってしまったのだ。
 さて、前回今回通じて分かったことがある。それは人間て暗くなると方向感覚が無くなるということだ。昼間は無意識に太陽の位置とかで方向の判断をしているのだろうか。サバイバルなんかでも夜は動くなと言うよね。
 というわけでー、道に迷ってしまった。馬場を出てすぐ山手線の高架を見失った。しかも線路のどちら側を歩いていたのか思い出せない。たぶんこっちだと住宅街の中を延々と歩くこと三十数分。ゾンビ状態でふらふらになって進む。気が付くとそこは高田馬場駅だった。つまり、ゾンビがクルリと輪を書いたってこと。
 気を取り直し、今度は位置、方向を頭の中で指差し点呼しつつ、最終ゴール目白へ向かう。
 そして、十分ちょっとで、ついに目白駅に到着した。
 思った以上の達成感があり、さわやかな夜風に向かって小さくガッツポーズをしたぜ。
 今回は約1万7千歩だった。

 ご静聴ありがとう。