僧侶のあげるお経が仄暗い部屋から流れ出している。
波のリズム。
庭に目をやると五月の眩しい陽光。
昨夜亡くなった母が愛したツツジが咲き乱れている。
紫,赤,白。
それらの花々が燃え上がる。
庭全体から炎が揺らめき立つ。
熱い。
焼かれる。
たまらなく暑い・・・
汗びっしょりになって目を開ける。
ぽっかりと青空が見える。
雲の白さが何だか悲しい。
ここは?
そうか,イラワジ川だ。
眠ってしまったんだ。
背中の鉄床は焼けそうな高温だ。
エンジン音が響く船の甲板に,容赦なく強い日差しが照りつけている。
日焼け止めをたっぷり塗ったのに,顔や腕がひりひりする。
体を起こすと川風が額に当たる。
土をたっぷり溶かし込んだ川の色。
川岸には淡い緑の農地が地平まで広がる。
何という開放感だ。
僕は立ち上がって埃を払い,ゆっくりと歩き出す。
冷えたビールでも飲もうか。

亡き母と猫のミーちゃんに捧ぐ