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フェリーで見る朝日は感動的だよ。と教えてくれた朝日を見損ねる。かなり寝坊した。
顔を洗ってデッキに出てみると,おおお,すばらしい晴天だ。高速船のせいかすごい風だ。どうやら台風を振り切ったようだ。

昼の明るい太陽が,東から西へ黄道上をゆっくり異動する。のんびりした時間。



考えてみれば,7月に教習所に通い,8月に免許取得,バイク購入,そして9月に札幌から敦賀までツーリング。もう若くないし,ちょっと無謀だったかも知れない。
ただ,初めてのバイクとは言っても,無理をしなけりゃ運転感覚は車と変わらないし,都会のビジネスホテルに泊まったから疲れがたまらなかった。
雨風は少し辛かったけれど,それさえ自然と一体になれたと感じられて,ひたすら楽しかった。
一人だから,孤独な旅になると予想し,それがいいのさ,と思っていた。
でも実際には,ライダーや地元の人に随分話しかけられたし,観光スポットなどではシャッターの押しっこで笑顔も交換しあったりして,ちっとも寂しくなかった。
それに,メールで友達が情報や話題を提供してくれたりしたことで,ツーリングの奥行きが増した。一緒に旅行しているようで単純に嬉しかった。一人じゃないんだって思った。

何かを実行できるかできないかは、ほんのちょっとの差なんだと思う。気持ちの強さとか、そんな類の。その一歩を踏み出してみると,豊穣な風景が広がっていたりするんだ。

舷側の窓際に並ぶ椅子で足を投げ出し,そんなことを考えながら海を見ていた。フェリーは既に津軽海峡に入ったようだ。遅い午後の日差しが眩しく反射している。



フェリーでトビウオを見たことがある,とのメールを受取り,早速デッキに出て目をこらしてみる。
でもよく考えたらここはもう北の海だ。

穏やかな一日をかけてゆっくりと傾いてきた全天が,今まさに暮れようとしている。荘厳な夕陽が海を照らす。
やがて目の前には、函館市街と函館山の灯。青と橙の巨大なグラデーションの下でたたずんでいる。



夜8時過ぎ,フェリーは苫小牧東港に滑り込んだ。
降船の段取りも,もう手慣れてきた。

札幌に帰るまでがツーリングだ,と言い聞かせて走り出す。
北海道は甘くない。とてつもなく寒い。夜露で濡れた踏切を渡るとき,一瞬後輪が滑ってふらつく。アッブねー。疲れのせいが前輪がふわふわしているように感じて,心許ない。気を引き締め直す。

結局,夜10時半に自宅到着し,ヘルメットを脱ぐ。
お疲れー。

ぼくはもう,今度のツーリングのことを思う。
来年はもっと先へ行こう。
そして,いつか日本一周するんだ。

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