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今日からいよいよツーリング。夏休みを先伸ばしして何とか一週間の休暇をとった。
本当は昨日から休みなので、すぐにでも出発したかった。でも、ちょうど台風通過中でひどい天気。通り過ぎるのを祈っていたんだ。
だからフェリーも予約してない。

今回のツーリング、何となく青函航路を渡って初秋の裏日本紀行というテーマがあるだけ。最終日の敦賀発苫小牧行きのフェリーだけを予約してある。あとは風任せで行くつもり。

だいたいバイクの免許とって一ヶ月もたってないのに、無謀じゃないかとの声もあった。自分でもどうなるんだろうという不安もある。それが楽しい。ワクワクするんだ。

朝寝坊して目を覚ますと,どうやらいい天気だ。全然準備していないのに,まったりする。だって,色々考えた結果、今日は函館から深夜フェリーで青森まで一眠り=宿泊費節約というコースに決めたから。だから夜までに函館に着けばいいのさ。

昼前に重い腰を上げて実家に置いてあるバイクを取りに行く。
愛車、黒婦人号は静かにぼくを待っていた。
父も今日から温泉旅行に行くとかで,ちょうど迎えにきていた親戚にも見送られ,自宅に戻る。
おもむろに準備と積み込みを終え、いざ出発。
きわめて好天なるも台風一過風強し。

ここで装備を説明しよう。
まず新たに買ったタンクバック。これはバイク独特のバッグで、燃料タンクの上に載せ、マグネットで固定するようになっている。ちょうどお腹の前に抱え込むような位置に来る。これは便利だ。地図を透明のシートにはさめるので,いつでも確認できるし,高速道路の料金をすぐ取り出せるように小銭入れも着いている。雨具なども入れておく。
後部シートには愛用の海外旅行用キャリー付バッグを、自転車用ゴムひもで括り付けた。最初,縦置きしたらキャリー部分が腰にゴツゴツ当たって不快だったので,途中で横置きにしたら何とか快適になった。これの中には着替えや街歩き用スニーカー,ノートパソコンなどが入っている。
バイク用のシートバッグ、サイドバッグの方が当然いいんだけど、高くて買えなかったのさ。
あとは腰のウェストポーチに貴重品。



快晴の中,札幌から順調に飛ばし,中山峠でまず休憩。
休日の晴天とあって,家族連れやカップルが大勢いて賑わっている。ローソンでオニギリでも買おうと思ったら,根こそぎ売れていて,やむなくビタミンゼリーで体力回復。



峠はおもしろい。先日帯広に行ったとき,日勝峠で軽く逆ハン当てると楽に曲がれるというマイバイクの特性を覚えてから,楽しくなった。

峠を越えてしばらく行くと,なぜか大渋滞である。こういうときはバイクって良いね。利点を活かし,なんとか切り抜ける。

留寿都辺りから長万部手前まで、一転してほとんど車が走っていない。ワインディングロード、午後の日差し、田舎の臭い、光る路面、みんな一人占め。

長万部のセイコーマートで休憩。職場のライダーからのアドバイスで2時間おきぐらいに休憩を取ることにしたんだ。確かに肉体的にも精神的にも2時間ぐらいで微妙におかしくなってくる。それがちょっと休憩すると嘘のように回復する。

函館駅へのアプローチは自動車専用道だ。こんなのが出来ていたなんて知らなかった。間違えて高速に入ってしまったかと思ってビビッた。高速はまだ乗ったことがないんだよ。後で調べると,いずれ有料の高速道路となるが今はまだ無料で供用しているらしい。もう6時を回ったので暗いし,他の車も高速並みに飛ばすし,恐ろしかった。まあ高速走行の練習だと思えばいいか。風がきつくて首がもげそうだ。

函館市内に入る。何年ぶりだろう。もう真っ暗で、周りがよく見えない。でも,うっすらと見える寂れた古い商店の風情に、函館らしさを感じる。

フェリー乗り場がどこか知らないので,ひとます駅に行ってみる。駅舎も新しくなっており、広場は工事中だった。どうせ、全国一律のつまらない駅にするんだろうな。
昔何度か乗った青函連絡船は,乗り場が駅から直結していて,いい席を取ろうとみんな一斉に走り出したことを覚えている。海峡ラーメンも食べたっけ。
でも駅の案内板によると東日本フェリーは随分街外れにあるようだ。
バイクを向けて、そちらに向かう。海のにおいが強烈だ。

迷ったあげく探し当てたフェリーターミナルは,意外に寂れたビルだった。
今なら,8時発とか,10時発のフェリーにも乗れるみたいだ。でも,それだと深夜に青森に着いてしまい,野宿となるので,予定どおり0時半の船に乗ることにする。
初めてなので窓口の太った係員に聞いてみると,出航の1時間前ぐらいから受付が始まるという。空いているので予約も必要ないとのこと。

一応乗船名簿に必要事項を記入した後,まだ時間が早いので一旦駅に戻り夕食をとる。コンビニで船内用のワインやつまみを買ってターミナルに戻る。

時間まで,アジア映画のような白々とした蛍光灯の待合室で,テレビを見ながらやり過ごす。
受付時間が来て,手続きを済ませる。しばらくして,案内放送で呼び出された。何かと思ったら、太った係員が料金を間違えたみたいだ。憮然と追加料金を払う。



乗船時間が近づいてきた。バイクは最初に乗船するらしいが,どうしたらいいんだろう。案内放送があるんだろうか。心配になり,外に出て様子を見てみる。あれ,もう船の前に並んでいる車がいるじゃん。あ,バイクも1台並んでる。
あわてて,ぼくもバイクを出して並ぶ。結局バイクは2台だけのようだ。
時間が来て、係員に誘導されるまま平らな連絡板を渡り,船内の所定の位置で降りる。すぐに係員がぼくのバイクを取り囲み,あっという間にロープで係留していく。
はーこういう段取りなのか。初体験にしてはスムーズにできたな。何事もやってみるもんだね。

2等船室はガラガラだった。もう一台のバイクのあんちゃんは旅慣れているようで,隣のフロアに陣取るとすぐ横になって眠ってしまった。
こちらのフロアは,女の子二人組と若い男3人グループ,どちらも北海道旅行帰りのようだ。ぼくも角地に荷物やヘルメットで陣地を作る。何せもう深夜だ。男達はすぐに横になって眠り,女の子たちは眠い声でおしゃべりしている。かなりの東北訛りだ。旅情がいやが上にも高まる。
ぼくはデッキに出て,徐々に岸壁を離れていく様子を眺める。風が冷たい。暗い海の中へいざ漕ぎ出でぬ。



船室に戻り,ワインのハーフボトルを飲みながらノートパソコンを開く。
このPCにはモデムが内蔵されているが,一応携帯用の通信ケーブルも買った。アクセスポイントはまだ函館だ。
友達に片っ端からメールを打ってツーリング宣言をする。やっぱり一人はちょっと寂しいから,道中の話し相手になってもらいたい,ぐらいの弱気も,旅の友。
すぐに消灯時間が来て,船中が寝静まる。エンジン音が低く立ちこめている。しばらくしてワインも空いた。パソコンを閉じ,ぼくも横になる。
はー,楽しみだなー。

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