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ゴールデンウィークもツーリングにいくんでしょ。
バイクの素人さんが何気なく言ったこの一言が僕をその気にさせた。
うん、そのつもり。と答えてしまった。

本当はまだまだ寒いし、考えても見なかったんだ。
でも、仕事の奴隷だからこういう時じゃないとまとまった休みを取るのは難しい。連休に遊ぶ予定も特に入れてない。
じゃあ、軽くお出かけしてみっか。
今年は、一度キャンプツーリングもしてみたかった。南の方へ行けば少しは暖かいだろう。よし、行ったる。

さて朝6時50分、愛車黒婦人号にまたがり、まだ白み始めたばかりの空を見上げる。



となりの保育園には鯉のぼりが垂れ下がっている。そうか端午の節句が近いのか。



出発。
アクセルを開ける。
エンジン音が人気のないマンション街に響く。
早朝の身を切るような冷たい風が頬を刺す。
アスファルトと曇り空が寒々しい。

今回は予算もとれなかったので、函館から大間にわたり、帰りも同じフェリーで戻ることにした。これならバイクとあわせても往復5千円以内だ。
あとは、な〜んにも決めていない。
どこまで行けるのか。

眠い頭で室蘭まで直行。
買ったばかりのシートバッグが腰に当たって痛い。テントやシュラフなどが結構嵩張り、積み方に工夫が必要だ。これも経験。
白鳥大橋近くの道の駅で休憩。
お、スタンプ帳だ。今年はスタンプラリーに挑戦してみようかな。
白鳥大橋を渡る。この橋をバイクで渡るのが好きで、わざわざ遠回りしたんだ。気分がいいけれど、とにかく寒い。

長万部当たりから、ようやくあたたかくなってきた。
函館のフェリー乗り場には2時ちょうどに到着。
出航時間は18時30分だ。
随分早く着きすぎてしまった。



今晩の食事などを買い出しにいく。
その途中、どこかの会社の敷地に見事な桜を発見。今年初めてみる桜だ。札幌にはまだ桜前線がきていないから、僕の方から迎えに行ったカタチだ。
日差しも暖かい。

フェリー乗り場の待合室でだらだら過ごす。
便数の多い青森行きには、それでも1組、2組とライダーが乗って行った。
しかし、大間行きの時間が近づいて判明したのは、バイクは俺一人だと言うこと。まだ時期が早いのかなー。やっぱり。
出航時間となり、小ぶりのフェリーが停泊する桟橋で待機する。
ゴールデンウィークの里帰りなのか、意外に大勢の乗客が並んでいる。車も結構な台数だ。しかしバイクは俺一人。




バイクは真っ先に誘導される。がらんとした船内の一番奥へ。

船室に寝そべるとさすがに疲れがどっと出てきた。
完全に眠りに陥る寸前と言うところで、アナウンスが入り起こされる。
1時間40分で着いてしまうのだ。

寝ぼけながら本州上陸を果たし、小さなフェリーターミナルを出たのが、夜の8時10分。もう真っ暗だ。
大間岬キャンプサイトの詳しい場所をよく調べていなかったので、わからない。
おそらく岬の先端近くだろうとあたりをつけて住宅街の細い道に入っていく。
電気屋などの商店はすでにシャッターを閉じており、居酒屋の赤提灯だけが寂し気に揺れている。
どうやら、いきなり道に迷ったようだ。
いったんターミナルまで引き返して、方向を再確認する。

岬に近づくとそれらしきサイトを発見。RV車やテントもちらほら見える。よかった。ここだ。
バイクの置き場所を探しながら周囲を走っていると、屯している自転車の中坊どもに、お疲れさんっす、と声をかけられる。地元の不良グループか。不意をつかれて、思わず、どーも、とか曖昧に答えてしまったじゃないの。

場所を決めてテント張っていると、隣のテントのチャリダーが手伝ってくれた。風が相当強いから。二十代半ばぐらいか。
一緒に設営しながら、青森県人だが、ここにくるのは初めてとか、自転車で最高地点の乗鞍岳に行ったことなどを、ボソボソと話してくれる。
ちょっと引きこもりっぽいが、好青年だ。
いい旅を、と言われる。君こそ。

荷物を解き、飯にする。
持参のミニ七輪で炭を起こして、豚串を焼いてみる。
ワインもあるよ。楽しみ楽しみ。

10分後。
だめだー。何たってこの七輪、ミニ、というかお座敷用だから炭もちっちゃくて火力が弱すぎ。しかも直径が小さく、豚肉3ピースのうち一度に2ピースしか焼けない。
なんとか根気で5串全部焼いておいしくいただいたけれど、手間かかりすぎ。完全な失敗企画だった。



なんだかとっても寒いぞ。うわっ息が白いし。
もう早々に寝てしまおう。
寝袋は軽量化のためコンパクトなものをわざわざ買った。コンパクトと言うことは薄いということだ。いくら素材に工夫があっても、寒い。
眠れないんだ。
マンジリともせず夜が更けていく。
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