アモーレアモイ 5 コロンス島

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2015.9.23
四苦八苦で一句
登っても登っても上り坂
これじゃ山頭火だと気付いたところで目が覚めた
昨日の登山が余程堪えたのかもしれない

さて今日はコロンス島に行ってみる
昔アモイの街歩きのTV番組を見た
コロンス島の民家の一室で小学生ぐらいの女の子が見事にピアノを弾いていた
ショパンのエチュードOp.10-8
ピアノを弾く人なら分ると思うが右手が高速アルペジオで4オクターブを駆け巡る下で左手は溌剌としたメロディーを伴奏付きで歌うというとんでもない難曲だ
傍らでは父親が楽譜を見ながら間違いがないかチェックしている
未だにこの映像が焼き付いていて美しい街並みと相まっていつか訪れたい街になったのだった

コロンス島は厦門から1キロもない目と鼻の先の小さな島だ
戦前は上海と並ぶ共同租界として日本を含む列強の領事館が置かれた
古い西洋建築が並び音楽も盛んでいつしかピアノの島と呼ばれる
ついこないだまでは厦門中心部にある輪渡フェリー乗り場から往復8元10分で行き来していた
香港のスターフェリーのような感覚だったのかな
しかし観光客が殺到したためだろう2014年10月からは厦門市民以外は街外れの東渡フェリーターミナルから乗らなくてはならなくなった
料金も往復35元時間も30分かかり定員になったら乗れない

と言うわけで朝まだき6時半ごろ出発する
今日も曇り空で天気の崩れはなさそうだ
昨日も結構陽が差したし次第に晴れ男の勢力が強まってきた
流しのタクシーを捕まえた
純朴な運ちゃんには英語は全く通じず筆談も怪しかった
何とかフェリーターミナルに辿りついた
メーターの12元を払おうとしたら申し訳なさそうに車内の表示を指さす
早朝割増しと気が付きプラス1元払うとニコニコとお礼を言った
いい人だった

立派なターミナルビルの中はさすがにまだガランとしている
日中はフェリーがものすごく混み数便先の券しか買えないと聞いていた
だから始発時間7時10分に合わせてきてみたのだが狙い通り券を買えた

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同じ窓口で共通入場券100元も入手
これはコロンス島内の5つの見どころ(日光岩 菽荘花園 皓月園 風琴博物館 国際刻字芸術館)に入れるもので個別に買うより35元安い
全部行くか分からないけれど

桟橋に出ると既に沢山の乗客が待っていた
時間が来て船が到着する
2階建で年季が入った緑の船体だ

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海はいいな
しばらく厦門の高層ビルを横目に伝った後コロンス島に舳先を向ける
潮の香りが鼻を抜ける
朝の太陽が穏やかな波に反射する

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コロンス島の三丘田埠頭に着いた
乗客は三々五々散っていく

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さあどうしよう
大体のプランとしてはメイン観光スポットらしき日光岩に行ってから博物館を制覇しあとは自由行動みたいな感じか
その前に朝飯だな

案内表示に従い日光岩方面へ向かう
コロンス島は車やバイクが禁止されており心なしか風が透明だ
海沿いの道は綺麗に整備されており行き交う船の汽笛や荷降ろしに忙しい男たちの声が朝日に光る海に響いている

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公園のフェンスが五線譜になっており「コロンスの波」とかいう曲の音符が踊っている
中心街に入るとオシャレな店が並んでいるが朝早いので殆ど閉まっている
舗装には音楽記号をあしらったタイルが埋めてある
なるほど音楽を売りにしてる

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街の一画に人だかりがしててその先に湯気を出している店がある
きっと食べ物屋さんだぞ
近づくと麺料理の店ようだ
行列が出来ているから美味いんだろう
僕もしばらく並んで皆が頼んでいるものをゲット
醤油ダレで米の麺と幅広のお餅に卵と肉が入り香菜が乗せてある
それで10元だから200円

皆その辺の道端で啜っている
僕はもう少し落ち着くところを求めて少し歩く
ちょっと先の広場にベンチがあった
そこでゆっくり食べる
美味だ

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一息ついて周辺を見るとスーパーがありもう開店している
ミネラルウォーターと飴ちゃんを買う
冷えたビールの存在を横目で確認するふふふ

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さてと目指すは日光岩
案内板の方向に歩くが曲がった道が輻輳しており迷う
ふと緑に囲まれた大きな建物に遭遇する
門の表示を見るとコンサートホールだった
階段を上って入口まで行ってみるが閉館中のようだ

終了した演劇の看板が置いてあった
抗日戦争勝利70周年記念とある
実はこちらに来て乗ったバスの電光掲示でも頻繁に抗日勝利の文字を流していた
街中でもたまに見かけた
この月の初めに軍事パレードが行われており政治的にはそういう時期だったのだろう
ただ滞在中日本人だからという視線は感じなかったし街中でヘイトスピーチが聞こえることも無かった
皆親切だった
どの国どの時代でも国家と自我の重なり具合は人それぞれだ
頭の片隅に置きながらも今は旅を楽しもう

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道沿いには立派な洋館が散見される
赤茶けた煉瓦と豊かな木々の緑が響き合っている

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日光岩の入り口に着いた
立派なゲートがあり入場券に鋏を入れられる
日光岩は晃岩と呼ばれていたが鄭成功がここからの景色は日本の日光より美しいと晃を崩して改称したという
因みに鄭成功は明末の英雄で日本人とのダブルである
巨大な岩で勾配もきつく登るのが辛そうだ
昨日予定外の登山をしてまだ足に疲労感がある
でもここに来るまで「不登日光岩不算到廈門」という看板を何度か見かけた
「日光岩に登らずしてアモイに来たことにならないよ」という意味だろう
「日光見ずして結構と言うなかれ」のパクリ疑惑はあるがそこまで言われたらこのまま引き返すわけにはいかない

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ため息を一つついて登り始める
案の定すぐに息切れして足も上がらず何度も立ち止まる
追い抜く若者たちに同情の目で見らてれる気がする
なーに君らもいずれ辿る道だよ

途中ところどころに寺院の祠や銅像があって足を休める
また岩に様々な書が彫られていて慰めになる
書の知識がなくともその美しさは分る
水を飲み飲み飴ちゃんを舐め舐めやっとやっとの思いで頂上に着いた

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そこには円形の展望台が設置されている
最高の眺めだ
眼下には古い赤瓦のコロンス島の家々が広がる
その向こうの鈍く光る海峡には数多くの船がぼんやりとシルエットを並べている
対岸は厦門の街だ
高層ビルが立ち並ぶ近代都市が蜃気楼のように浮かび上がっている
そして空が青い
いい天気だ

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しばらく絶景を堪能し十分体を休めて下山する

次は鋼琴博物館に向かう
鋼琴とはピアノのことだ

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歩いていくと大きな砂浜があった
海に近づいてみる
砂を踏んで足を取られる感触
こんなところで味わうなんて

子供たちが遊んでいる
その沖を巨大な貨物船が通り過ぎる
一枚の絵だ

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さらに歩くと菽荘花園に辿りついた
この中に博物館があるのだ
庭園内には人工的に造られた岩場がある
その中を通りぬけようとすると迷路のようになっており完全に道に迷った
所々岩場の間から庭を見渡せるが出口が分からない
苦笑しながら行きつ戻りつしてやっと通り抜けると博物館への道案内が見えた

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坂を登っていくと丘の上に瀟洒な建物があり海を望むバルコニーからヒラヒラした白いドレスを着た美女が出てきた
遠くを見る横顔につい見とれてしまう
深窓の令嬢だろうか

 

もう少し登ると目当ての鋼琴博物館があった
入ってみる
古い時代のピアノが並んでいる
名前も聞いたことがないようなメーカーだ
今は一種のグローバリズムが進み大手に集約されている感がある
昔は各地域で様々な制作者が工夫を凝らしていたのだろう

写真撮影は禁止でしかも係員が張り切って違反者を制止している
のべつ大声で叱責している感じだ
あの調子で一日中やるなら凄いバイタリティーだ

展示はただピアノを並べて置いているだけなので一巡りしたらもう十分
パデレフスキーが弾いたというスタインウェイと何故か直角に曲がった鍵盤の変なピアノが印象に残ったのみだ

最奥の部屋を見ていたら中央に置いている普通のピアノに係員が座った
楽譜を広げて曲を弾きだした
多分公園のフェンスにあった「コロンスの波」という曲だ
ピアノの島で初めて聞くピアノの音色
中国歌謡風の曲でも演奏は今一でもやっぱり美しいな
胸が洗われた

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その部屋のフランス窓が出口になっている
外へ出ると海を見渡せるバルコニーだ
あれここは先ほどの白いドレスの美女が立っていた場所だ
とうことは彼女は単なる観光客だったのか

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近くにもうひとつピアノを模した建物の鋼琴博物館があった
こちらは倉庫のような展示だった
ちょっとピアノが可哀そうに感じた

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ここまできたら共通チケットを使いきろう
まず近くの国際刻字芸術館に入る
刻字の世界は全く知らない
書とはまた違った技法の制約とか味わいの世界なのだろう
こじんまりとした展示スペースに多くの作品が並んでいる
随分日本人作家の作品も多い
交流があるのだろう
本場中国のものには力強さや威厳を感じるのに対し日本人作品は和風と言うか柔らかさを感じた

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次は鄭成功像のある皓月園に向かう
道々旧領事館などのレンガ造りの風情ある建物が並び石畳に樹木が緑の影を落とす
ヨーロッパの街を歩いているようだ

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ふと立派な門構えに目を遣ると音楽学校だった
「中央音楽学院 鼓浪嶼鋼琴学校」
色あせた看板には昨年の卒業生だろうか顔写真入りで生徒の名前が並び卒業後の進路も載せてある
中には上海音楽大学やジュリアード音楽院に進んだ子もいてレベルの高さがうかがえる
ということは音楽高校かな

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木陰で一休みし皓月園に向かう
巨大な鄭成功象は高台に聳えていて遠目からわかる
足元まで来て見上げると大きすぎて何だかよくわからない
特に思い入れもないので靴をナデナデして引き上げる

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だんだん歩き疲れてきたが最後の風琴博物館に足を向ける
風琴とはオルガンのこと
どちらの博物館もオーストラリアに住む大金持ちの華僑が自分のコレクションを寄贈したものという
風琴の方は建物自体も歴史ある立派なものだ
こちらも様々なオルガンを並べて展示してあるだけ
面白いのはこちらの係員は全然ユルユルで写真撮り放題だったこと
一応撮影禁止なんだけどね

海外でよくあるのは規則に対して異常なまでに厳格かと思えば一方では驚くほど融通が利いたりすること
そこに賄賂とかが入り込んでくる余地が生まれる訳だが考えてみればいわゆるロビー活動だって似たような構図だ

頼まれてシャッターを押してあげたりそこまでしていいのかいというほど自由だった
小さな売店があったので記念にピアノ型の栞を買う
後で見たら韓国製だった
例の直角型ピアノのオルゴールもあって気持ちが揺れたが割と雑な作りで98元約2千円という値段が微妙でやめた

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やれやれこれで共通券コンプリートと門を出てしばらく歩いた
でもどうしても直角ピアノが気になる
引き返そう
入場券に鋏が入っていたが見せたらすんなり再入場できた
オルゴールは調子っぱずれのエリーゼのためにだったけどこの形が唯一無二なのだ
購入しなかったら絶対後悔したろうから良かった
円形土楼で買い損ねたお茶っ葉の教訓が生きた

中心部の商店街に戻る
大勢の観光客で賑わっている
偽ネズミが所在無げにウロウロしている

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まず朝チェックしたスーパーで例のものを仕入れる
それはふふふビールだよ
そして店でマイブームの魚丸スープをゲット
ウニとカニとタラの組み合わせ6丸で20元400円

これを持って海が見える場所に移動する
潮風を浴びながら間近に迫る対岸のアモイ市街を眺めウェディングドレスの写真撮影を見物しつつ美味しくいただく
ビールのンマイことったら

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どこがピアノの島さというぐらい一切ピアノの音は聞こえなかったけれど十分堪能した
さあ帰ろう

フェリー乗り場への途中いかにもメルヘン的な建物があり入ってみるとお菓子屋さんだった
店員の巧みな誘導で気がつくと乳糖菓子のこ洒落たパッケージをぶら下げていた

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さて乗り場に着くと朝とは一転して結構混んでいる
導かれるままに進む
檻のような待合スペースは満員状態で隣にも既に満員の檻がある
暫く待つとフェリーが着いたが隣の檻が先のようでどんどん乗り込んでいくのを羨ましく見る
何か所から不満の声も聞こえる
大分待ってようやく次の便が来た
どやどやと乗り込む
満員電車のようだ
難民船だな
あるいは家畜になった気分だ
でも極めて合理的ではある
アモイのシルエットが夕陽に浮かんでいる

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一旦ホテルに戻った後お土産などを買いに出る
大きな土産物屋が何軒かある
きっとアモイは中国国内でも有数の観光地なのだろう
やはり海産物が名物らしく多種多様な干物類が並んでいる
僕は干物は嫌いなので無視
その代わり良く分からない縁起物のような紙袋を見ていたらワーッとオバちゃん店員にまくしたてられて値引きされて気が付いたら手に提げていたりする
いかんいかんとスーパーのウォルマートに入ってバラマキ系のものを買う

アモイ最後の夜
相変わらずの活気だ
また手羽の串などを買って帰る

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ほっと一息ついてあれこれ頭に浮かぶこと

厦門で気がついたのはとにかく全ての商品に値段が振ってあると言うことだ
細々した商品から食糧から交通機関などのサービスからメニューまで執念のように値段が書いてある
日本以上に文字の国だから漢字と相まって店先などは凄いことになっている
しかし旅行者にはとても分りやすいし値引きなどの煩わしさもない

例えばこの前に行ったモロッコのスーク
まず値段を聞いたらもう離してくれない
向こうのいい値を半額ぐらいに値切って何度もやり取りをしたり別の店に行くふりをしたりしてようやく折り合いがついて安く入手する
そして後でそれが相場の3倍と判明したりするのだ
中国の他の地は知らないけれど経済特区と言うことも関係あるのかな
とにかく便利だった

今日は結構歩いた
そしてまた山登りをしてしまった
ベッドに疲れた身体を投げ出すと一瞬で睡魔に引きずり込まれ・・・

てはいけない!
明日朝早いから荷造りせねば
冷たいビール片手にスーツケースへアモイのオモイデ全てを詰め込んだ

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