古代ローマ帝国の遺産展
過日、道立近代美術館で開催されている「古代ローマ帝国の遺産展」に行ってきた。
確か何度か国内外で古代ローマの遺跡はみているので、最初はどうしようかと思った。
しかし今回はポンペイの遺物を中心とした展示というので、楽しみにして向かった。
ヴェスヴィオ火山の火砕流で一瞬にして灰に埋もれた街ポンペイ。
子供の頃読んだ科学読本に、人々や犬の生活の一瞬が凍りついたような遺跡の写真をみて、感銘と恐怖を覚えた。それ以来一度は訪れてみたかった。
会場はまずローマの全盛期を築いた初代皇帝アウグストゥスの巨大な彫像を中心に、帝国の威光を示す数々の遺品が陳列される。
ローマ時代の彫像はもともと鑞で作成しており、このため大理石を使うようになっても、皺や禿頭などリアルに表現するのが特徴になった。
だが、初代皇帝は自らの神格化のため、ギリシャ的な若々しい理想像をつくらせ、支配地に数多く建立したという。どこにでもありそうな話だ。
続いていよいよポンペイの壁画。
有名なものはよく美術本やテレビなどでも紹介されている。美しい朱色。
あまり見たことのないものだったが、それでも素晴らしい。プリミティブではあるが遠近法の萌芽やスフマートのような表現も認められるように感じた。
しかし、歩みを進めて行くと、黒い背景に植物や動物が浮き上がる絵、装飾的な紋様のデザイン。
圧巻は部屋いっぱいに庭園の風景を再現した大画面の壁画2面。
腰を抜かした。
ここにはジョットがボッティチェリがダビンチがルソーがマチスが…混乱するほど近代絵画のエッセンスを感じた。
植物的装飾にアールヌーヴォーや現代のイタリアファッションの原型も読み取れる。
近代美術というのは失われた古代の栄光の再発見に過ぎないのではないかと思ってしまった。
何より、そんなことを抜きにして、作品としてすばらしい。
圧巻は噴水の周りを覆っていたタイル絵の素晴らしさだった。多彩な石材の他に貝殻を織り混ぜて夢のようなアルコーブを形成している。
屋敷の住人たちは、装飾された壁画の部屋に寝転びながら、泉からの流れに浮かぶ中央のテーブルから新鮮なフルーツや野鳥の香草焼きを食べ、リュトンのワインを飲み干しては延々と議論を重ねる。
庭に目をやると噴水の水音がのどかに響き遠景には海の青い輝き。
CGで再現したポンペイの映画も上映している。10分ほどなので是非見た方がいいよ。
もちろんそんな生活が出来たのは、当時のごく一部のセレブだけだろうが、豊かさとは何かということに思いは飛んで行く。
そしてそれら全てを無に帰する運命の力。
ポンペイ関連の作品数が少ないのが個人的にはちょっと残念だったが、他の新発見の彫像や装飾品なども充実しており、すばらしい時間を過ごせた。
まだの人はGO!
Tags: 美術展

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7月 29th, 2010 at 12:56 PM
体を横たえて食事する場所がありましたね。
映画ベンハーに,チャールトンヘストンが横になって食事する場面があり,驚いた記憶があります。今回その場面を思い出して見てきました。
7月 30th, 2010 at 9:03 AM
>れいほうさん
ベンハーはポンペイと同時期の話ですね
僕は実際に横臥して食事してみたことがありますが、
意外と首とかが痛くなって寛げませんでした(笑
やっぱ庶民でした