月の影 影の海 十二国記

月の影 影の海〈上〉十二国記 (講談社文庫)
小野 不由美
講談社
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本屋さんの棚でこの本をふと見かけた。

そういえば大分以前、某女史が推薦していたな。
その後アニメ化された時に、どんなお話か見てみようと思った。
でも、あまり好きな絵柄ではなかったので、第一話を見ただけでやめた。

そんな事を思い出したり、ちょうど物語に飢えている気分だったので、試しに読んでみることにした。

読み終えてまず思ったのは、長編の作者ってこんな人のことを言うのだろうな、ということ。
何しろ、引っ張る引っ張る。最終コーナーを回るまで、謎は謎のままであり、主人公は翻弄され続け、苦しみに出口はない。ブルックナー的な長大さを思った。

主人公の女子高生陽子は、目立たない草食動物のように学校生活を送っていた。
それがある日突然現れた怪物に襲われ、ケイキという魔物に導かれ、異世界へ放り出される。
見知らぬ世界で、訳も分からず怪物に襲われ、住民に追われ、凄惨な逃避行を続ける陽子。
心は猜疑心に満ち、誰も信じられず、孤独に打ちひしがれ、ひたすら元の世界への帰還を願う。

暗い話がいつまで続くのかと思った。
しかし、読ませる筆力が大きいので、止められない。

それが後半になって友ができ、世界の構造が示され、一気に謎が解ける。
十分にカタルシスを味わったところで、物語は終わる。
作者の計算と分かっていても、感動する。

壮大な交響曲を聞いたよううな読後感だ。

内容は陽子の精神的な成長物語、友情、戦いなど、よくある冒険ファンタジーである。
しかし、本当の意味での主人公は、十二国という異世界そのものだろう。
街並みや自然の描写が実にリアルで、よくぞこのような不思議な世界を作り出したものだと驚いた。

僕の生涯ベスト本の一つである山尾悠子の「夢の棲む街」の世界観も思い浮かんだ。
何か彼女たちは、別世界からの声を巫女的な感覚で紡いでいるのだろうか。

シリーズの残りも当然読む。
また面白い本に出会えた。
某女史さま、ありがとう。

My評価:★★★★☆

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